17文字に愛を込めて。【屋嘉部 奈江様 御年百歳☆】
- 平良 和己

- 9月17日
- 読了時間: 3分

ネイバーフッドケアマネジメント、屋比久ケアマネが担当している屋嘉部 奈江様のモニタリングに同行させていただいた。
大正14年生まれ、100歳。長寿と元気の象徴のような存在で、以前からぜひ会ってみたいと思っていた。その願いがようやく叶ったのだ。
迎えてくれたのは、にこやかな笑顔の奈江様。趣味は俳句を詠むこと。これまでに二冊の句集を発行し、その中からいくつかを紹介してくださった。

戦争を体験した奈江様の句には、平和への祈りが込められている。けれど、それだけではない。子どもへの深い愛情を詠んだ句も多く、その背景や当時の思いを丁寧に語ってくれた。その中で心に残ったのは「17文字の中にどれだけの愛情を込められるかを大切にしているのよ」という言葉である。
俳句といえば季語を入れることぐらいしか知らなかった私にとって、その奥深さは新鮮な驚きであった。
同席していたご長男が一句を見せてくれた。
「日向水汲みたんねんに子を洗う」
戦時中、子どもを沐浴するにも空襲や限られた水に気を配らねばならなかったという。しかし戦後、太陽に温められた水を惜しみなく使い、何度も子どもを洗ってやることができた。その喜び、平和の尊さ、そして子を思う気持ちが凝縮された一句だ。
「これは僕のことなんだよ」とご長男は誇らしげに語った。この句は沖縄代表として全国紙の句集にも掲載されたそうである。

いま奈江様は「120歳を目指す」と笑顔で語る。
モニタリングの間も、奈江様とご長男夫婦、そして屋比久ケアマネの間には絶えず笑い声があった。
週に三度デイケアに通い、訪問診療や福祉用具レンタルも利用しながら自宅での生活を続けている。デイケアにはかつての俳句仲間も通っており、「デイケアでまた会えるのは嬉しいさ〜」と楽しげに話していたのが印象的だ。

帰り際、「奈江さん、120歳めざしましょうね!」と声をかけると、「そうだよ〜」と元気に応じる奈江様。その姿に、屋比久ケアマネの日頃の寄り添うケアが凝縮されているように感じられた。
屋比久ケアマネは横浜で主婦として家族の介護を長年担い、その後、介護の世界へと飛び込んだ。多くのチームを率いて活躍した経験を経て、現在は両親の介護のため帰沖し、介護とケアマネ業を両立している。彼女の特徴は、利用者と家族に寄り添い、心にまで温かさを届けるケアマネジメントである。その姿勢は専門医からの信頼も厚く、名指しで指名されるほどだ。 奈江様の俳句と生き方。そして屋比久ケアマネの寄り添う支援。
その二つが重なり合い、モニタリング同行後に静かな余韻を残すひとときとなった。
結びに、奈江様をはじめ先輩方への感謝と敬意をこめ、拙句を添える。
『片陰に笑顔花咲く色豊か』





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